『好きな娘がいるらしいよ^^』 と、妻の一言。
『そうなの!?何で知ってんの?』 と聞くと、息子の友達が言っていたらしい。
『誰、誰!?』 と、僕は興味津々。
でも、息子の友達が妻に話している時
息子は ”何で話すんだよ!!” という感じで睨んでいたらしい。
そして、その友達に 『えっ?そうなの!?誰?』 と妻が聞くと
『本人に聞けば?』 とかわされたと言うのだ。
『で、本人に聞いたの?』 と、僕が聞くと
『友達を睨んでいるのを見たら、可哀相で聞けなかった・・』 と、妻。
誰だろう・・・知りたい知りたいと思いながらも、つい忘れていた先日の事・・・
息子と話していた僕は思い出してしまったのだ!!
『そういえばさ?・・・好きな子がいるんだって!?』 と聞くと
『えっ・・なんで』 と息子はニタニタ。
『お母さんから、友達が言ってたって聞いたぞ^^』 と僕。
すると 『いないよぉ(ニタニタ)』 と息子。
『嘘だぁ?、教えてよ!』 と、僕は息子のクラスの知っている女の子の名前を挙げた。
知っているといっても数人程度だが、その名前にも 『違うよ!』 と息子。
ならば視点を変えようと、僕は 『相手の気持ちは聞いてみた?』 と探りをいれた。
すると 『そうだよ!^^ だってね?・・・』 と、やっと話に乗ってきた。
『自分から告白したの?』 『そうだよ』 『カッコいいじゃん!!』 などと話していると
『そしたらね?授業中に●●が寄って来てね?・・・』 と、ポロッと名前が出てきたのだ!!
『何だよ!^^ ●●ちゃんなんじゃん!!』 と、僕が言うと
”しまった!!” という感じで、息子は再びニタニタと。
僕と息子の会話を近くで聞いていた妻もニタニタしていた。
その女の子は、僕が息子のクラスで唯一可愛いと思っている子で
当然、僕もニタニタし 『そうなんだぁ!凄いじゃん!!』 と、話は盛り上がった。
まだ小学生だから、何がどうということはないが
息子と好きな女の子の話が出来たことが、妙に嬉しかった。
息子の誕生からしばらく経っても、僕には父親の実感がなかった。
風呂に入れ、ミルクを与え、オムツの交換をしても、父親としての感覚が持てなかった。
可愛いし愛情もある。
でも、それは父親としてのものではなかったように思う。
今でも父親としての感覚があるのかは自分でも分からないが、もし
『この子が物事の判断が出来るようになり、それを自分で解決できるようになるまでは
俺が守る』
『外敵に襲われた時には命をかける』
『俺の知っていることは全て教えていきたい』
このようなことがそうであるなら、いつしか父親としての感覚は持っていたことにはなる。
それがいつからだったかは憶えていないが、息子が喋り始め、歩き始めたころ
息子に対する感情が、急激に変わったいったように思う。
何故かは分からないが、息子と二人だけの時間も増えいった・・・・
・・・・・というよりも、僕がそんな時間を好んだのかもしれない。
ほとんど一人で楽しむための趣味であるオートバイ。
スピードを求めることしかしなかった僕が、息子とタンデムするために
息子が楽に乗れるようにと、ハーレーに買い換えたのもこのころだ。
2歳の時には 『まだ早いから駄目!!』 という妻の制止をふりきり
身体に紐をくくり付けてオートバイにも乗せた。
怖がりもせず喜んだ息子が、妙に嬉しかった。
今では、毎年夏休みに、息子と二人のキャンプツーリングにも行く。
その時は、全て息子の判断に任せている。
食べ物も、ジュースも、お菓子も、全部息子が自分で決めるルールにしている。
僕が怒ると怖いのは、息子もじゅうじゅう知っている。
息子から見れば、僕はまぎれも無く父親であり、それ以外の何者でもないのかもしれない。
でも僕が息子に対する感覚は、友達に近いものがあるかもしれない。