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父親の実感
僕 | 0 Comments
|息子の誕生からしばらく経っても、僕には父親の実感がなかった。
風呂に入れ、ミルクを与え、オムツの交換をしても、父親としての感覚が持てなかった。
可愛いし愛情もある。
でも、それは父親としてのものではなかったように思う。
今でも父親としての感覚があるのかは自分でも分からないが、もし
『この子が物事の判断が出来るようになり、それを自分で解決できるようになるまでは
俺が守る』
『外敵に襲われた時には命をかける』
『俺の知っていることは全て教えていきたい』
このようなことがそうであるなら、いつしか父親としての感覚は持っていたことにはなる。
それがいつからだったかは憶えていないが、息子が喋り始め、歩き始めたころ
息子に対する感情が、急激に変わったいったように思う。
何故かは分からないが、息子と二人だけの時間も増えいった・・・・
・・・・・というよりも、僕がそんな時間を好んだのかもしれない。
ほとんど一人で楽しむための趣味であるオートバイ。
スピードを求めることしかしなかった僕が、息子とタンデムするために
息子が楽に乗れるようにと、ハーレーに買い換えたのもこのころだ。
2歳の時には 『まだ早いから駄目!!』 という妻の制止をふりきり
身体に紐をくくり付けてオートバイにも乗せた。
怖がりもせず喜んだ息子が、妙に嬉しかった。
今では、毎年夏休みに、息子と二人のキャンプツーリングにも行く。
その時は、全て息子の判断に任せている。
食べ物も、ジュースも、お菓子も、全部息子が自分で決めるルールにしている。
僕が怒ると怖いのは、息子もじゅうじゅう知っている。
息子から見れば、僕はまぎれも無く父親であり、それ以外の何者でもないのかもしれない。
でも僕が息子に対する感覚は、友達に近いものがあるかもしれない。
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